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Interview

役目を終えたゴムの木が
子どもたちの笑顔に生まれ変わる

プラントイジャパン株式会社 代表取締役 前畑謙次様
インタビュアー 株式会社ビスモーゲン 代表取締役 田中斎

プラントイジャパン株式会社

タイ・バンコクで、世界中の子供達のために健全で持続可能なおもちゃを作ることを目的に誕生した「プラントイ社」。プラントイのおもちゃは、ゴムの木の廃材を再利用した木製玩具で、防腐剤・防カビ剤を使用したりせず、環境への配慮と安全性を第一に考えて作られています。プラントイジャパン(株)は、プラントイの輸入総代理店として、製品を日本市場に拡販するために2003年に設立されました。

おもちゃは子どもが最初に触れる文化

…木製玩具の世界トップブランドとして知られる「プラントイ」。プラントイの木のおもちゃは当社でもたくさん採用させてもらっていて、心をホッと安らかにしてくれる木の温もりに人気があります。

前畑社長:木の温もりとよく言いますが、それは木がおもちゃになっても脈々と生き続け、呼吸をしているからなんですね。木のなかに水分を蓄え、周りに水分がないときははき出し、周りにたくさん水分があると吸い込むという具合に呼吸を繰り返しています。ただし必要以上の水分が含まれた木は膨張や収縮が起こってしまいますので、おもちゃにするときは、乾燥処理を施して水分量を安定させます。まず木を切った状態で含水率を13%ぐらいまで自然乾燥させ、さらにもう一度、工場内で乾燥させて、落ち着かせてから加工します。適度に水分を含んだ状態でおもちゃになっていますので、見た目や触った感じ、香り、音も人工的なものではなく、優しい印象があり、温もりがある。プラスチックや金属は当然、呼吸していませんから、温もりは感じられないというわけです。

…プラスチックなどの人工素材にはない感覚ですよね。

前畑社長:日本は国土の70%が森林に覆われているという自然の恵みを生かして、昔から木で建物や道具をつくり、木に親しんで暮らしてきました。日本の風土や暮らしの中に木の製品との付き合いが刻み込まれているので、遊んでいても落ち着くのでしょう。
私は、子ども達が初めて手で触れる自然というのは木の製品だと思うのです。木のおもちゃの人工物にはない感触に心が動かされる、文化や芸術への扉のようなもの。だから子供の頃から木と触れ合うことが大事です。発想力や感性を豊かにしてくれますからね。おもちゃは人間がつくりだした素晴らしい文化です。戦争をやっているようなところにはない、心の平和をつくりだす賜物だと思いますね。

…おもちゃは最初に触れる自然であり、最初に触れる文化なんですね。だからこそ、御社は人の感覚を呼び覚ます、木の温もりのあるおもちゃにこだわっておられるんですね。

万全の品質と優れたデザイン

…プラントイのおもちゃの品質は他の輸入ブランドと比べても圧倒的に高いですね。輸入品にありがちな、表面がめくれたり、ねじがはまらなかったりというものが一切ありません。

前畑社長:プラントイでは、ASTM・EN71(アメリカとEUの安全基準)、ISO9001(品質管理)、ISO14001(環境保全管理)、OHSAS18001(労働安全衛生規格)、SA8000(社会的責任の管理)、CARB(カリフォルニア州大気資源局)を含む全ての品質保証を満たしています。世界70ヶ国以上に輸出するおもちゃメーカーとしての信用を得るために、高い品質レベルを保つことは当然と考えています。
当社は、そんなプラントイの信用あるおもちゃを日本に伝える役目を担っています。昔から木の製品に親しんできた森林大国の日本は木製玩具の良し悪しに対する感覚が鋭く、レベルも高いですからね。

環境配慮と安全基準 グリーン・カンパニーのグリーン・トイ
・国際標準規格ISO9001「製品の管理と品質管理」
・国際標準規格ISO14001「組織の環境保全管理」
・労働安全衛生管理規格OHSAS18001
・社会説明責任SA8000 「労働者人権保護に関する規範」
・ヨーロッパ安全基準EN-71、アメリカ安全基準ASTM

家具付きシャレードールハウス

例えば、大型サイズの「プランドールハウス」は、家具としての規格や仕様の安全性を考慮して製造しています。家具や床板製造での構成要素であるホルムアルデヒドにおいて、CARBの認定も受けているんですよ。

…「プランドールハウス」は、キッズコーナーでも特に人気が高いですね。屋根から手を入れて遊べるデザインも素晴らしいと評判です。

前畑社長:子どものための玩具デザインの専門家グループを雇用しています。児童行動の専門家や児童発育の研究をしている教育者たちと協力してデザインすることで、ドイツデザイン大賞をはじめ、グッドデザイン賞、レッドドットデザインなどの玩具にまつわる数々の賞も受賞していることも自慢です。

顧客満足度の向上をめざして

…不具合が生じた場合、製品の全てのパーツの生涯交換をしてもらえるのもありがたいです。無料で交換していただけるのは、多くの玩具メーカーのなかでもプラントイさんだけですね。

前畑社長:ビジネスとしては赤字になりますが、購入いただいたお客様に満足してもらえるならば、トータル的にはOKと考えています。当社ではおもちゃのなかにアンケートはがきを同封していて、既に何千通とたまっていて、大きな財産となっています。私たちはメーカーを代表するものとして、エンドユーザーの声を反映していくことを大切にしています。だから当社へのクレームの報告書は「ダイアモンドレポート」と名付けています(笑)。クレームをきちんと対処すれば、ダイヤモンドのごとく自分たちの価値を高めてくれるからですね。“売って終わりではない”という意識を常にもって仕事と向き合っています。

…当社も“レンタルして終わり”ではなく、メンテナンスはもちろん、現場でお客様の声をヒアリングしてより良いレンタルにつなげることに力を入れています。御社のお客様満足度の向上につなげるために、という想いと同じですね。

エコからサスティナブルへ 「プランウッド」の開発

…プラントイが開発された、環境に優しいエコ素材「プランウッド」について教えてください。

前畑社長:ゴムの木の切り株部分を細かく粉砕した木粉に、植物由来のオーガニック染料と少量の接着剤(ノンホルムアルデヒド)を加えて高圧力で高密度に加工したものです。通常、ゴムの木は25年経つと樹液が採取できなくなるため、伐採され焼却するしかないのですが、その廃材をリサイクルしようと開発し、世界初の技術として成功しました。
木のおもちゃは、かつて私たちが行っていた健全な自己再生型の暮らしに戻ることにつながると思っています。子ども達も小さいころから木のおもちゃに触れることで、自然を大切にする大人に育ってもらいたいとの想いがあります。そういう観点からも私たちは素材が持続可能であること、経済的にも持続可能であること、そして遊びそのものが持続可能になる玩具であることをめざして、「サスティナブル・プレイ(持続可能な遊び)」を理念として掲げています。

…私どもがプラントイさんをキッズコーナーレンタルに多く採用しているのも、御社の理念に共感しているからです。限りある地球上の資源を大切にする心が育った子ども達が、未来の地球を守ってくれることに貢献したいという想いで事業を行っています。

森林資源の循環利用 「プラントイの森」活動

おもちゃを梱包するダンボールはリサイクルの一環として、送り返してもらえば、再利用する仕組みも構築

…森林を整備する「プラントイの森」活動を始められたきっかけは?

前畑社長:現在、日本ではメンテナンスされずに荒れ果ててしまった森林が増えていて、森林率も世界第2位から第3位へと転落してしまいました。荒れた森林をもとの元気な森林へと戻すためには、成長した木を伐る、伐った木を適切に使う、使った分の木を新しく植えて育てる、そして成長した木を伐ってまた活用する…という森林資源の循環利用を推進していかなければなりません。
そこで当社でも木の玩具をタイから輸入して販売するだけではなく、タイの森林や日本の森林、そして世界に元気な森林をつくり、守り続けるために何かできないだろうかと考えました。そうして2011年秋から、「プラントイの森」という森づくり活動をスタートさせました。

…具体的にはどのような活動ですか?

前畑社長:2011年に国際連合が国際森林年をスタートしたことを受けて静岡県で企画された「しずおか未来の森サポート」制度に応募し、サポーターとして採用されました。森林の整備を図ることで、未来の子供達に豊かな森林環境を引き継ぐことを目的に、静岡県と静岡市が管理する森林の4ヘクタールを「プラントイの森」と名付け、豊かな里山を取り戻すために間伐などの作業を行っています。

…2018年(平成30年)に、7年の活動実績が評価され、「知事褒章」を受賞されたとか。

前畑社長:静岡銀行さんやブリヂストンさん、イオンリテールさんなど、静岡を代表する大企業さんと並んで、当社のような小さな会社も表彰していただきました。とても光栄なことです。その他にも、森から生まれた木のおもちゃを扱っていますから森のことをもっと勉強しようと、オークヴィレッジの稲本正さんが始められた「どんぐりの会」に参加させていただいたりしています。自社だけでできる活動は限りがありますから、同じ志や考えをもった企業や人と協力して、自分ができる範囲でやっていくことが大事だと思います。

…確かに同じ志のパートナーさんと組んでいれば、何かしらのカタチで想いは未来へ続いていきますよね。理想を追い求めるために、継続していくことは大事だと思います。

理想のおもちゃ店を全国展開したい

…「今の世の中は玩具が色々あって、何を選べばいいのかわからない」という悩みをお持ちの親御さんも多いと聞きます。特に木の玩具を買ってあげたいと思っても、一般的なおもちゃ屋さんでの扱いが少なく、もし高額なおもちゃを買っても気に入らず、遊ばなかったら無駄になってしまうと躊躇されてしまうとか。

前畑社長:確かに今の日本は、キャラクターライセンスのグッズが売り場の中心となっている店が多いですよね。知育玩具はあってもアイテムが少なかったり、高額だったり。子どもたちが遊び方を自分で考えだし、夢中になって試し遊びできるようなおもちゃ屋さんをもっと増やすべきだと思います。
当社は現在、おもちゃを輸入して卸販売していますが、将来的には子どもたちがおもちゃを通して木や自然と関わることができる場所を提供したいと考えています。子どもたちや子ども連れのお母さんたちがふらっと寄って、遊んでもらえるようなトイ&ホビーの専門店です。新しいカタチのおもちゃ屋さんを全国に広めていくために、当社で運営モデルやマニュアルをつくり、フランチャイズ展開していく。モノを売ることを目的とするのではなく、子ども達にとってはリラックスできて、大人達にとっては自分の子ども時代を思い出して楽しめる、おもちゃという素晴らしい文化を拡げていければいいなと思うのです。店主がきちんと子どもを見守ることで、地域の安全な環境も確保できます。今の日本のおもちゃ業界を変革するような新しい流れを小売り部門でつくっていきたいと思います。

…そのおもちゃに買う価値があるのかどうか、なかなか親御さんも判断できないですよね。御社が考えられる試し遊びできるおもちゃ屋さんや当社のキッズコーナーレンタルなどを通して、本当に価値のあるおもちゃと子どもたちが出会う機会が増えていくことを願っています。